不倫相手との示談交渉の進め方
1 不倫相手と示談交渉を進めるための3つのポイント
不倫をした配偶者と不倫相手との間で不貞行為があった際、不倫相手にのみ不倫慰謝料の支払いを求めることがあります。
例えば、不倫をした配偶者と離婚まではしない場合です。
不倫をした配偶者と同一生計であると、不倫をした配偶者から慰謝料の支払いを受けたとしても、実質的にその慰謝料は家計から支出しているにすぎないためです。
不倫慰謝料に関して、不倫相手と示談交渉を進める際におさえておくべきポイントは次のとおりです。
① 不貞行為の証拠収集と不倫相手の身元調査を行う
② 配達証明付内容証明郵便を用いて慰謝料請求をする
③ 求償権行使への対応
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 不貞行為の証拠収集と不倫相手の身元調査を行う
不倫慰謝料の請求をするためには、事前に証拠収集と相手の特定が必要となります。
集めるべき証拠は、不倫慰謝料の発生原因となる、不貞行為の存在を裏付けるものです。
証拠がないと、たとえ訴訟を提起しても基本的には敗訴してしまうことから、不倫相手が請求に応じない可能性が高いと言えます。
そして、不倫相手に請求をするためには、氏名や住所等を知る必要があります。
不倫をした配偶者と不倫相手との間のメッセージのやり取りや写真などから、不倫相手の身元がわかることがあります(不倫相手は、身近な人や共通の知り合いということもあります)。
もし不倫相手の身元がわからないという場合には、専門家に調査を依頼することをおすすめします。
3 配達証明付内容証明郵便を用いて慰謝料請求をする
不貞行為の証拠が揃い、不倫相手の身元が判明したら、配達証明付内容証明郵便を用いて不倫慰謝料の支払いを求めます。
配達証明付内容証明郵便を用いることで、慰謝料の請求をされていない、郵便物が届いていない、といった反論を防ぐことができます。
交渉の際には、不貞行為の証拠がしっかりと揃っていることを伝え、訴訟になった場合には不利になるという点を理解してもらうことが大切です。
4 求償権行使への対応
不倫慰謝料には、不倫をした配偶者と不倫相手のいずれに対しても、全額の支払いを求めることができるという法的性質があります。
ただし、両名が支払った金額の合計額が不倫慰謝料の金額に達した場合には、それ以上の支払いを受けることはできません。
また、不倫をした配偶者と不倫相手との間においては、負担割合が存在します。
片方が自身の負担割合を超えて不倫慰謝料を支払った場合、もう一方に対して、負担割合を超えて支払った分を請求することができます。
例として、不倫慰謝料が100万円、不倫をした配偶者と不倫相手の負担割合が50:50であるケースで考えてみます。
仮に不倫相手が100万円を支払った場合、不倫をした配偶者に対し、負担割合を超えた分である50万円の支払いを求めることができます。
離婚をしない場合には、実質的に50万円しか支払いを受けられないことになります。
これを防止するため、不倫相手に不倫慰謝料の請求をする際には、求償権を放棄する旨の条項を入れるよう交渉をすることがあります。